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労働基準法上の管理監督者について
みなさんの会社の多くには、いわゆる「管理職」という資格・職位の方が配置されていると思います。この「管理職」が労基法41条の「監督若しくは管理の地位にある者」(以下、管理監督者)であれば、労基法の一部が適用除外となり、割増賃金の一部が支払われなくても良いことになります。今回は、労基法の「管理監督者」について解説します。
1.会社の管理職とは
支店長、部長、課長、店長、マネージャーなどさまざまな名称があり、管理職の範囲を課長以上とする会社もあれば、副課長、副店長、課長代理なども管理職としている会社もあります。
2.労基法の管理監督者とは
「一般的には、部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意であり、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきものである。」とされています(昭63・3・14基発第150号等)。
したがって、会社が管理職としていても、労基法の管理監督者と判断されない場合があります。
(参考)女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画における「管理職」とは、「課長級」と「課長級より上位の役職(役員を除く)」とされています。
3.適用除外となる労基法の規定について
労基法の管理監督者は、労働時間、休憩、休日に関する規定の規制を超えて活動しなければならない企業経営上の必要から、労働時間、休憩、休日に関する規定の適用除外とされています。
具体的には、法定労働時間(32条)、労働時間の特例(40条)、休憩時間(34条)、休日(35条)、時間外・休日労働の割増賃金に関する部分(33条、36条、37条)、妊産婦の労働時間(66条)等です。
なお、年少者及び妊産婦の深夜業禁止(61条、66条3項)、割増賃金の深夜業に対する部分(37条)、年次有給休暇(39条)は、管理監督者でも適用除外とされていません。
4.労基法の管理監督者の判断はどのように行うのか
- (1)労基法の労働条件は、最低基準を定めたもので、法定外労働について法所定の割増賃金を支払うべきことは、すべての労働者に共通する基本原則であり、企業が人事管理上あるいは営業政策上の必要等から任命する職制上の役付者であればすべてが管理監督者として例外的取扱いが認められるものではありません。
- (2)労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない重要な職務と責任を有し、現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないような立場にある者に限って認められる趣旨です。
- (3)管理監督者の範囲を決めるに当たっては、資格(経験、能力等に基づく格付)・職位(職務の内容と権限等に応じた地位)の名称にとらわれることなく、職務内容、責任と権限、勤務態様に着目し、実態に基づき判断されます。
- (4)賃金等の待遇面について、基本給、役付手当等において、その地位にふさわしい待遇がなされているか否か、ボーナス等の一時金の支給率、その算定基礎賃金等についても役付者以外の一般労働者に比し優遇措置が講じられているか否か等について留意する必要があります(一般労働者に比べ優遇措置が講じられているからといって、実態のない役付者が管理監督者に含まれるものではありません)。
以上の内容を総合的に勘案し、労基法上の「管理監督者」が決定されます。少し古いですが、管理監督者についてのリーフレットがありますので、これを参考にしてください。